配信の音、なんか薄いな…と感じたことはありませんか? その原因、マイクプリアンプで解決できるかもしれません。
そもそもマイクプリアンプって何をする機材なの?
マイクプリアンプは、マイクから出る小さな信号を増幅して、オーディオインターフェースやミキサーが扱いやすいレベルまで持ち上げる機材です。 「え、インターフェースにもゲインつまみあるじゃん」と思った方、正解です。 インターフェースにも簡易的なプリアンプは内蔵されています。

じゃあなんでわざわざ別の機材を買うの?と思いますよね。理由はシンプルで、インターフェース内蔵のプリアンプだとゲインが足りないマイクがあるからです。
代表的なのがSHURE SM7Bのようなダイナミックマイク。 出力が小さいので、インターフェースのゲインを最大まで上げても音量が足りず、ノイズまみれになることがあります。 そこでマイクプリアンプを間に挟むと、クリーンなまま音量を稼げるので、ノイズの少ない配信音声になるわけです。
インターフェースのゲインを上げるとノイズが目立つ
配信の音声にもう少し太さや存在感がほしい
逆に、コンデンサーマイクを使っている人は基本的にマイクプリアンプは不要です。 コンデンサーマイクは出力が大きいので、インターフェースのゲインだけで十分な音量が取れます。
配信用マイクプリアンプ3台を並べて比べてみた
今回ピックアップした3台を表で並べてみました。 価格帯がバラバラなので、予算と用途に合わせて選んでください。
| 商品名 | タイプ | ゲインブースト量 | 電源方式 | 配信での使いやすさ | 声の太さの変化 |
|---|---|---|---|---|---|
| Cloudlifter CL-1 | クリーンブースター | +25dB | ファンタム電源 | ★★★★★ | ★★★☆☆ |
| dbx 286s | チャンネルストリップ | +60dB | ACアダプター | ★★★★☆ | ★★★★★ |
| Focusrite ISA One | スタジオグレードプリ | +60dB | ACアダプター | ★★★☆☆ | ★★★★★ |
「配信での使いやすさ」はセッティングの簡単さや取り回しの良さを評価しています。 「声の太さの変化」は実際にマイクを通して喋ったときの体感評価です。

Cloudlifterは「ゲインだけ足したい」人向け、dbx 286sは「音作りまで一台で済ませたい」人向けです。目的がはっきりしていれば迷わないと思います。
配信におすすめのマイクプリアンプ3選
では1台ずつ詳しく見ていきます。 それぞれ使ってみた感触を交えて紹介します。
第1位:Cloud Microphones Cloudlifter CL-1

最初に繋いでSM7Bのゲインを回したとき、「あ、全然違う」と声が出ました。 今までインターフェースのゲインをMAXにしてもボソボソだった声が、Cloudlifterを噛ませるだけでしっかり聞こえるレベルになります。 +25dBのクリーンゲインが加わるので、ノイズを増やさずに音量を稼げるのが最大の魅力です。
ファンタム電源で動くので追加の電源アダプターが要らないのも地味にラク。 XLRケーブルで繋ぐだけなので、配信環境をゴチャゴチャさせたくない人に向いています。

正直、音の「色」が変わるわけではないので、声を太くしたいとか音作りしたいという目的には向きません。あくまで「ゲインが足りない問題」をスパッと解決する道具です。
第2位:dbx 286s チャンネルストリップ

dbx 286sはプリアンプだけじゃなくて、コンプレッサー、ディエッサー、エキスパンダー/ゲートまで全部入りのチャンネルストリップです。 これ1台で配信の音声処理がほぼ完結するのがすごい。
実際に配信で使ってみると、コンプを軽くかけるだけで声の音量差が均一になって聞きやすくなりました。 ディエッサーで「サ行」のキツさも抑えられるので、リスナーの耳に優しい音になります。
ツマミがたくさんあって最初は戸惑います。 適当にいじると音が劣化するので、まずはプリアンプのゲインだけ上げて、他は少しずつ調整するのがおすすめです。

ぶっちゃけ、この価格でコンプもディエッサーも入ってるのは控えめに言って神です!! 配信者なら持っておいて損はないと思います。
第3位:Focusrite ISA One

ISA Oneは「音が変わる」プリアンプです。 Focusrite伝統のISAトランスフォーマー回路が入っていて、声を通すだけで音に太さと立体感が加わります。 正直、最初に音を聞いたとき「え、同じマイクなのにこんなに印象変わるの?」と驚きました。
インピーダンス切り替えスイッチがあって、マイクとの相性を微調整できるのもスタジオグレードならでは。 配信だけでなくボーカル録音やナレーション収録にも使えるので、長く付き合える1台です。

ただ、価格が5万円を超えてくるので、配信だけの用途で買うには勇気が要ります。予算に余裕がある人や、音声にこだわりたい人向けの選択肢です。
マイクプリアンプを配信で使うときの接続と設定のポイント
マイクプリアンプを初めて使う人がつまずきやすいのが接続順です。 間違えるとノイズが出たり、そもそも音が出なかったりします。
マイク → (XLRケーブル) → マイクプリアンプ → (XLRケーブル) → オーディオインターフェース → PC
ここで注意なのが、Cloudlifterの場合はインターフェース側のファンタム電源をONにする必要があること。 Cloudlifterはファンタム電源で動く機材なので、48VをONにしないと機能しません。 逆にdbx 286sやISA OneはACアダプターで動くので、インターフェースのファンタム電源はOFFにしてください。

接続後はゲインの設定が大事です。声を普通に出して、メーターが-12dBから-6dBの間で振れるくらいに調整してください。上げすぎると音割れ、下げすぎるとノイズが目立ちます。
OBSなどの配信ソフト側でも入力ゲインの調整ができますが、ソフトウェア側のゲインはなるべく触らず、ハードウェア側で音量を決めるのが鉄則です。 ソフト側で持ち上げるとデジタルノイズが乗りやすくなります。
マイクプリアンプと一緒に用意したい周辺機材
プリアンプを買ったら終わりではなくて、周辺を整えることで効果が倍増します。
ショックマウント:机の振動がマイクに伝わるのを防ぎます。配信中にキーボードを叩く音が入りにくくなります。
デスクアーム:マイクの位置を口元に近づけられるので、プリアンプのゲインを上げすぎなくて済みます。結果としてノイズも減ります。

XLRケーブルは地味だけど超重要です。100均のケーブルや変換アダプターで済ませようとすると、せっかくのプリアンプの音質が台無しになることがあります。
微妙に分かりにくいのが、マイクプリアンプとオーディオインターフェースの違いです。 インターフェースは「PCに音を送る」ための機材で、プリアンプは「マイクの信号を増幅する」ための機材。 役割が違うので、プリアンプを買ってもインターフェースは引き続き必要です。
筆者:桜庭 海音響機材やPC周辺機器を得意とするライター。販売店スタッフや配信者へのリサーチをもとに、購入前に確認しておきたい情報を分かりやすくお届けしています。今回はオーディオ機器専門店2店舗でマイクプリアンプの売れ筋傾向をヒアリングしました。


