パルスオキシメーターを指に挟んだのに、数字が出るたびに変わって、どれを記録すればいいのか迷う。
看護の現場でも家での介護でも、ここでつまずく人が多いです。
原因の多くは、挟み方と待つ時間、それに指先の状態にあります。
挟む指と待つ秒数、それに長く付けるときの付け替えさえ知っておけば、パルスオキシメーターの使い方で迷うことはほとんどなくなります。
パルスオキシメーターのSpO2は96〜99%が目安
パルスオキシメーターに出るSpO2は、健康な人なら96〜99%くらいが目安です。
SpO2は、血液中のヘモグロビンのうち、酸素と結びついているものの割合です。
95%なら、ヘモグロビンの95%が酸素と結びついている状態を表しています。
画面にはもう1つ、PRという数字も出ます。
これは1分間の脈拍数で、SpO2と一緒に記録しておくと様子の変化が分かりやすくなります。
自治体が自宅療養の人に配った使い方の資料では、SpO2を次のように分けて案内していました。
| SpO2の数値 | 見方 | 看護でのSpO2の受け止め方 |
|---|---|---|
| 95〜100% | 青信号 | ふだんどおり記録する |
| 90〜94% | 黄信号 | 測り直して、呼吸や顔色も確かめる |
| 90%未満 | 赤信号 | すぐに医師や看護師に伝える |
90%を切ると、いわゆる低酸素の状態です。
ただし、慢性の呼吸器の病気がある人は、ふだんのSpO2がもともと低めのこともあります。
その人の「いつもの数値」を知っておくと、数字が下がったときに気付きやすくなります。
看護でのパルスオキシメーターの使い方は7つの手順で覚える
パルスオキシメーターは、座って深呼吸してから人差し指を奥まで入れ、数値が落ち着いたところで記録します。
指先に挟むタイプなら、次の順番で測れます。
- いすに座るか横になり、数回深呼吸してもらう
- クリップをつまんで、指を入れるところを開く
- 爪を上にして、人差し指を奥に当たるまで入れる
- 電源ボタンを押す
- 話さず、手を動かさずに待つ
- 数値が落ち着いたら、SpO2と脈拍を記録する
- 指を外す(多くの機種は数秒で電源が切れる)
数値は、指を入れてから8〜10秒ほどで出始めます。
最初に出た数字はまだ上下するので、そこから5〜10秒ほど待ってください。
表示が落ち着いてから読むのがおすすめです。
パルスオキシメーターを付ける指は人差し指か中指
大人や中学生以上なら、人差し指か中指に付けるのが一般的です。
指が細い小学生や赤ちゃんは、親指のほうがしっかり挟まります。
右手か左手かの決まりはありませんが、毎回同じ指で測ると数値を比べやすくなります。
測っている間は話さない
話したり手を振ったりすると、パルスオキシメーターが脈をうまく拾えません。
患者さんには「30秒だけ静かにしていてくださいね」と声をかけると、測っている理由も伝わります。
パルスオキシメーターで正しく測れない6つの場面
マニキュア、冷えた指、体の動き、強い光、浅い差し込み、締め付けすぎの6つは、パルスオキシメーターの数値がずれる原因になります。
パルスオキシメーターは、指先に光を当てて、通り抜けた光から酸素の量を読み取っています。
光がうまく通らなかったり、脈が弱かったりすると、数値が正しく出ません。
| 正しく測れない場面 | 起きること | 看護での対処 |
|---|---|---|
| マニキュアやジェルネイル | 光が通らない | 塗っていない指で測る |
| 指先が冷たい | 脈が弱くて読み取れない | 手を温めてから測る |
| 手や体が動く | 数値が大きく上下する | 安静にしてから測り直す |
| 日光など強い光 | センサーに外の光が入る | 光の当たらない場所で測る |
| 指が奥まで入っていない | 光がずれて当たる | 指先が奥に当たるまで入れる |
| 強く締め付ける、ガーゼをはさむ | 血の流れが妨げられる | プローブを付け直す |
指が汚れているときも光が通りにくくなるので、拭いてから付けましょう。
指先が冷たいときは手を温めてから測る
冬場や、熱が上がり始めて手足が冷えている人は、脈が弱くなって数値が出にくいです。
両手をこすり合わせたり、ぬるめのお湯で手を温めたりしてから測ると、数値が出やすくなります。
タバコを吸う人はSpO2が高めに出ることがある
喫煙した直後は、一酸化炭素がヘモグロビンと結びつきます。
その影響で、SpO2が実際より4〜5ポイント高く出るという報告があります。
数値がよくても息苦しそうなら、数字だけで大丈夫と決めないでください。
パルスオキシメーターを長く付けるときは数時間ごとに指を替える
モニターとしてパルスオキシメーターのプローブを付けっぱなしにするときは、添付文書に書かれた時間ごとに付ける指を替え、皮膚の様子を見ます。
日本医療機能評価機構の医療安全情報では、プローブで熱傷になった事例が7件報告されています。
7件のうち6件は3歳以下の子どもで、1件は80歳代の人でした。
1つは新生児の事例で、3時間ごとに付ける場所を替える決まりがありました。
忙しくて替え忘れ、翌朝に外したところ低温熱傷が見つかっています。
もう1つは寝たきりの人の事例です。
添付文書には8時間ごとに付け替えて皮膚を見るよう書かれていましたが、入浴や清拭のときにしか替えていませんでした。
付け替えの時間は機種によって違います。
使っているプローブの添付文書で、何時間ごとに替えるのかを先に確かめておくと安心です。
看護の記録はSpO2の数字と患者さんの様子をセットで残す
SpO2の数字だけでなく、脈拍、測ったときの姿勢や酸素の有無、息苦しさや顔色も一緒に記録しておくのがおすすめです。
同じ95%でも、安静にしていたときと、トイレから戻った直後とでは意味が違います。
数字の横に「安静時」「歩いた直後」と書くだけで、あとから見た人にも状況が伝わります。
記録しておきたいのは次のような内容です。
- SpO2と脈拍の数値
- 測った時間と、付けた指
- 安静時か、動いた直後か
- 酸素を吸っているか、吸っている場合はその量
- 息苦しさ、顔色、唇の色、呼吸の回数
パルスオキシメーターは、酸素がしっかり取り込めているかを知るための目安です。
数値がよくても、呼吸が速い、苦しそうに話すといった様子があれば、それも一緒に伝えましょう。
数値が低いときは深呼吸して測り直す
自治体の資料では、95%以下だったら深呼吸をしてからもう一度測るよう案内されています。
測り直しても低いときや、息苦しさがあるときは、すぐに医師や看護師、かかりつけの医療機関に相談してください。
パルスオキシメーターを使う前に確かめる3つのこと
看護でパルスオキシメーターを使う前は、指の状態、待つ時間、付けっぱなしにする時間の3つだけ確かめておけば十分です。
1つめは、マニキュアがなく、指先が温かく、汚れていないこと。
2つめは、数値が出てから5〜10秒待ち、落ち着いた数字を記録すること。
3つめは、付けっぱなしにするなら、添付文書の時間ごとに指を替えて皮膚を見ることです。
この3つを守れば、パルスオキシメーターの数値がぶれて迷うことはかなり減ります。
次に測るときは、まず患者さんの指先を触って、温かいかどうかを確かめるところから始めてみてください。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
X(旧Twitter)




