ジャケットのシワを取りたいのに、アイロン台を出すのが面倒で結局そのまま着ていませんか。家電売り場で見かける衣類スチーマーは、そのためにある家電です。
ただしアイロンの代わりになる場面と、ならない場面がはっきり分かれます。ここを知らずに買うと、綿のシャツがパリッとしないと感じてしまいます。
仕組みの違いと向く服が分かれば、自分に必要なのがスチーマーかアイロンか、それとも両方かを決められます。
スチーマーとはハンガーにかけたまま蒸気でシワを伸ばす家電
スチーマーとは、服にかける家電の名前で、売り場では衣類スチーマーと呼ばれています。ハンガーにかけた服に高温の蒸気を当て、熱と水分で繊維をゆるめてシワを伸ばす家電です。アイロン台に服を広げる必要がありません。
アイロンとの一番の違いは、上から押しつけないことです。蒸気を当てながら、もう片方の手で裾を下に引いて形を整えます。押しつけないので、服の厚みや立体感を残したまま仕上がります。
呼び名は衣類スチーマーもハンディスチーマーも同じもの
売り場では衣類スチーマー、ハンディスチーマー、ハンディアイロンなど呼び名が分かれています。指しているものは同じで、片手で持てる大きさの蒸気を出す家電です。メーカーによって名前が違うだけなので、名前で迷う必要はありません。
ただし、かけ面を押し当ててプレスもできる2WAYタイプと、蒸気だけの専用タイプがあります。この2つは中身が違うので、選び方の章で分けて書きます。
蒸気には消臭と除菌の働きもある
高温の蒸気を当てると、汗やたばこ、防虫剤のにおいが薄くなります。メーカーの公式ページでも、スーツやコートなど洗いにくい服の脱臭用途がはっきり書かれています。
使っている人からは、帰宅後に当てておくと翌朝のにおいが気にならないという声が多いです。シワ取りだけの家電ではない点は覚えておきたいところです。
アイロンとの違いは圧力の有無と仕上がりの2つ
アイロンと衣類スチーマーは、どちらも熱と水分でシワを伸ばします。違いは圧力をかけるかどうかで、アイロンは熱と圧力でパリッと仕上がり、スチーマーは熱と水分だけでふんわり仕上がります。この一点で、向く服も使う場所も変わります。
アイロンは熱と圧力で折り目まで作れる
アイロンはアイロン台の上で、かけ面を服に押し当てて動かします。重さと熱で繊維を押しつぶすので、深いシワも伸び、スラックスの折り目も作れます。
タンクの容量が大きい機種が多く、家族分のシャツをまとめてかける使い方に向いています。その代わり、アイロン台を出す準備と、終わったあとの片づけがついてきます。
スチーマーは繊維をゆるめて重みで伸ばす
スチーマーは蒸気で繊維をゆるめ、服そのものの重みと手で引く力でシワを伸ばします。押しつぶさないので、ギャザーやフリルのふくらみがつぶれません。
仕上がりはアイロンよりやわらかく、着たときの自然な形が残ります。逆に、パリッとした張りは出ません。ここを勘違いすると、買ってから物足りなく感じます。
準備と片づけの時間が一番違う
アイロンはアイロン台を出し、温まるのを待ち、服を広げてかけます。スチーマーはハンガーにかけたまま、電源を入れて30秒前後で使えます。
朝の出がけに1着だけ直したい場面では、この差が大きいです。逆に、5枚のシャツをまとめてかけるなら、アイロン台に広げたほうが早く終わります。
| 項目 | 衣類スチーマー | アイロン |
|---|---|---|
| シワの伸ばし方 | 熱と水分 | 熱と圧力と水分 |
| 使う場所 | ハンガーにかけたまま | アイロン台の上 |
| 仕上がり | ふんわり | パリッと |
| 折り目づけ | 苦手 | 得意 |
| 準備 | 電源を入れて30秒前後 | 台を出して温める |
| においとり | できる | 機種による |
スチーマーが向く服とアイロンでないと戻る服
買ってから困らないために、服の種類で分けておきます。ジャケット、ブラウス、ニットなど立体的な服はスチーマー、綿100%のシャツと折り目のあるスラックスはアイロンと覚えてください。
スチーマーが得意なのは立体的な服とデリケートな素材
フリルやギャザー、パフスリーブなど立体的な部分がある服は、アイロンで押すと形がつぶれます。スチーマーなら蒸気を当てて手で整えるだけなので、形を残したままきれいにできます。
ウールやカシミヤのニット、ジャケットやコートなどのアウターも同じです。押しつけないので、テカリや型くずれが起きにくく、洗えない服の手入れに向いています。
ほかにも、たたんでしまっていた服のたたみジワを取りたいときや、ハンカチやマスクなどの小物にも使えます。
アイロンが得意なのは綿と麻のシャツと折り目
形状記憶加工のない綿100%のシャツは、スチーマーだけではパリッとしません。襟やカフス、ボタンまわりの細かい部分も、押し当てないと伸びきりません。
スラックスのセンタープレス、制服、シーツやテーブルクロスなどの大物もアイロンで仕上げます。ワッペンやゼッケンをつける作業も、圧力が必要なのでアイロンでないとできません。
綿や麻やポリエステルはスチーマーの効果が出にくい
衣類スチーマーの使い方を説明した記事では、綿、麻、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタンは効果が出にくい素材とされています。繊維が硬く、蒸気だけではゆるみにくいためです。形状記憶加工がされていれば、綿でもきれいになります。
逆に、レーヨンやウール、シルクなどやわらかい素材はよく伸びます。手持ちの服のタグを見て、綿と麻ばかりならアイロンが要ります。
スチーマーでシワが残るときは当て方を変える
買ったのにシワが取れないという声のほとんどは、当て方の問題です。裾を手で下に引いて服を張り、上から下へゆっくり動かす、この2つでほとんどのシワは伸びます。蒸気を当てるだけでは伸びません。
上から下へ動かすのが基本の使い方
- 服をハンガーにかけ、ボタンをすべて閉じます
- 片手で裾を持ち、手のひら全体で下に引いて張ります
- スチーマーを服に軽く当て、上から下へゆっくり動かします
- 袖と裾は蒸気を多めに当ててから、手で形を整えます
- パリッとさせたい部分だけ、アイロンミトンや台で押します
動かす速さは素材で変えます。レーヨンやポリエステルは10cmを1秒ほど、それ以外の素材は10cmを3秒ほどかけて動かすと効き目が出ます。
テカリとやけどを防ぐ決まりは2つ
ウールや黒い服はかけ面を押し当てるとテカリます。かけ面を少し浮かせるか、付属のヘッドカバーをつけて当ててください。プレスするときは当て布を使います。
もうひとつは、一か所に当て続けないことです。蒸気は高温なので、服が濡れすぎるだけでなく、支えている手にかかるとやけどします。手袋やミトンをしていても、蒸気を直接受けないようにしてください。
デリケートな素材は温度を下げる
温度が3段階で変えられる機種なら、シルクやレーヨンは低温か中温にします。高温のまま当てると、変色や縮みの原因になります。
服のタグにある洗濯表示にはアイロンの温度が書いてあるので、それに合わせるのが確実です。表示が読めないときは、目立たない裏側で1回試してから全体に当ててください。
買う前に見るのは重さとスチーム量と立ち上がり時間
スチーマーは片手で持ち上げたまま使うので、選ぶ基準がアイロンと変わります。重さ、1分あたりのスチーム量、電源を入れてから使えるまでの時間、この3つを先に見れば大きく外しません。売り場で持ち上げて確かめるのが一番早いです。
重さは持ち上げて2分続けられるか
アイロンは1kg前後が目安ですが、スチーマーは縦に持ち上げたまま動かします。1kg近い機種を4分から5分使うと腕が疲れるという声があります。1着に2分から3分かけるつもりなら、軽さを優先してください。
ただし、水タンクが小さい機種は軽い代わりに給水の回数が増えます。タンクの容量と連続で使える時間は、重さとセットで見ます。
スチーム量は1分あたり8gから10g以上が目安
スチーム量は毎分何gかで表示されます。少ないと、同じ場所を何度も往復することになり、結局時間がかかります。家電量販店の選び方の案内では、毎分8mlから10ml以上が目安とされています。
蒸気の穴が多いほど、一度に広い範囲に当たります。ジャケットやコートなど大きな服が中心なら、スチーム量と穴の数を重視します。
立ち上がりは30秒以内なら朝に使える
電源を入れてから蒸気が出るまでの時間は、機種で20秒台から40秒ほどの差があります。出がけに使うつもりなら、30秒以内の機種を選んでください。待つ時間が長いと、結局使わなくなります。
コードの長さも見ておきます。ハンガーをかける場所とコンセントが離れていると、届かずに困ります。コードレスは動かしやすい反面、種類が少なく、連続で使える時間も短めです。
2WAYはプレスできる代わりにスチーム量が控えめ
かけ面を押し当ててプレスもできる2WAYタイプは、1台で両方こなせるのが利点です。ただし、プレスもできる兼用機はスチーム量が少なめになる傾向があります。どちらを多く使うかを先に決めてから選んでください。
どっちを買うかは服の種類と週の枚数で決まる
ここまでの内容から、どちらを買うかを決めます。週にワイシャツを5枚以上かけるならアイロン、ジャケットやブラウスを朝に1着直すのが中心ならスチーマーです。両方に当てはまるなら2WAYか2台使いになります。
スチーマーだけで足りる人
- ジャケット、ブラウス、ニットなど立体的な服が多い
- 出がけや帰宅後にさっと1着だけ直したい
- アイロン台を置く場所がない
- スーツやコートのにおいを取りたい
- 出張や旅行先で使いたい
この5つのうち3つ当てはまれば、スチーマーだけで困りません。綿のシャツは形状記憶加工のものを選べば、スチーマーでも十分きれいになります。
アイロンだけで足りる人
- 綿100%のワイシャツを毎日着る
- 家族分をまとめて週末にかける
- スラックスや制服の折り目を作る
- シーツやテーブルクロスもかける
この場合はスチーマーを足しても出番が少ないです。スチームアイロンを1台持てば、立てて浮かせて使える機種ならジャケットのシワにもある程度使えます。
両方当てはまるなら2WAYか2台使い
平日はジャケット、週末はシャツをまとめてかけるという人は、1台で済ませるなら2WAYタイプ、仕上がりを優先するなら軽いスチーマーとアイロンの2台使いです。メーカーの案内でも、場面に合わせた2台づかいが提案されています。
迷ったら、蒸気が出る手持ちのアイロンを立てて浮かせ、ジャケットに当ててみてください。それで足りると感じたら買い足す必要はありません。腕が疲れて続かないと感じたら、軽いスチーマーを1台足す順番で決めると無駄がありません。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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